まずは基礎用語が大切です。言葉を知らないと音楽理論の前に詰まってしまいますので、基本的な用語は覚えましょう。
この記事はドレミを読むための基礎知識を、これから理論を学ぶことを目指した人に向けて
この記事を読むことで、ドレミがスラスラ読めるようになります。
理論を学ぶ上で最低限知っておきたいことは次の4つです。
- 5線と加線、音部記号と譜表
- 幹音と変化音、変化記号
- 音名
- 半音と全音
5線と加線、音部記号と譜表
これらはドレミを読むための事前知識になります。当たり前すぎて学習を飛ばしている方も多いと思いますが、意外と種類が多いので今一度確認してみてください。
5線の名称
5線には下から第1線、第2線と名前が付いています。
線の間を「間」と呼び、これも下から第1間、第2間と名前が付いています。
音部記号
5線の左に書かれた記号を音部記号といいます。この記号は特定の音の位置を示すためのものです。
- ト音記号とは:書き始めの位置が「ト」を表します。
- ヘ音記号とは:書き始めの位置が「ヘ」を表します。
譜表
音部記号が書かれた位置によって譜表の名前が決まります。現在では、次の2つ以外はあまり使わなくなりました。
- 高音部譜表とは:第2線にト音記号を書いた譜表です。(ヴァイオリン譜表とも呼びます。)
- 低音部譜表とは:第4線にヘ音記号を書いた譜表です。(バス譜表とも呼びます。)
幹音と変化音、変化記号
変化記号とは
記号 | 呼び方 | 意味 |
---|---|---|
♯ | シャープ | 半音上げる |
♭ | フラット | 半音下げる |
♮ | ナチュラル | 幹音で |
幹音と変化音
幹音とは: 変化記号が付いていない音。(ピアノでいう白鍵のこと。※例外有)
変化音とは: 変化記号が付いている音。(ピアノでいう黒鍵のこと。※例外有)
※ 例えば「ミ♯」はピアノの白鍵ですが、変化音です。
各国の音名
実は、ドレミは日本語ではなくイタリア語なんですよ。しかし、日本語の理論書では日本語の音名が使われています。POPsでは英語が使われ、クラシックではドイツ語が使われます。
そのため、音楽を学ぶには4つの言語で音名を知っておく必要があります。
バイリンガルもびっくり!
4つと言っても規則性があり、簡単ですよ。
幹音音名表
イタリア | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
英語 | C | D | E | F | G | A | B |
日本 | ハ | ニ | ホ | へ | ト | イ | ロ |
ドイツ | C | D | E | F | G | A | H |
♯が付く音名表
イタリア | ド diesis | レ diesis | ミ diesis | ファ diesis | ソ diesis | ラ diesis | シ diesis |
英語 | C♯ | D♯ | E♯ | F♯ | G♯ | A♯ | B♯ |
日本 | 嬰ハ | 嬰ニ | 嬰ホ | 嬰へ | 嬰ト | 嬰イ | 嬰ロ |
ドイツ | Cis | Dis | Eis | Fis | Gis | Ais | His |
♭が付く音名表
イタリア | ド bemolle | レ bemolle | ミ bemolle | ファbemolle | ソ bemolle | ラ bemolle | シ bemolle |
英語 | C♭ | D♭ | E♭ | F♭ | G♭ | A♭ | B♭ |
日本 | 変ハ | 変ニ | 変ホ | 変へ | 変ト | 変イ | 変ロ |
ドイツ | Ces | Des | Es | Fes | Ges | As | B |
半音と全音とは
半音とは: すぐ隣の音のことです。「ミとファ」や「ドとド♯」などのことです。ギターでいう隣のフレットのことです。
全音とは: 半音2つ分の距離のことです。つまり、一つ飛ばしの音。「ドとレ」や「ミとファ♯」などのことです。
楽譜をスラスラ読むコツ
楽譜をスラスラ読むには3つのコツがあります。
- ドレミを書かないこと
- ドミソシレファラを覚える
- 和音(コード)を理解する
ひとつずつ解説します。
ドレミを書かないこと
初心者のうちは音符の上下にドレミを書きますよね。しかし、それでは中々楽譜を読む速度は上達しません。
ドレミを書くデメリットは3つあります。
- 読む回数が減ってしまう。
- 楽譜に情報量が増えてしまう。
- 言葉を仲介してしまう。
ひとつずつ解説します。
読む回数が減ってしまう
元も子もないですが、読む回数が大事です。何度も読むことで慣れていきます。
ドレミを書くと、その書いたとき1回しか練習になりません。
でもドレミを書いていないと、練習のたびに嫌でも読むことになります。ドレミを書かないことで、読む回数が増え早く上達します。
楽譜に情報量が増えてしまう。
楽譜に情報量が増えてしまい、思考の邪魔をするデメリットもあります。私が中学生の指導に行くと、楽譜が書き込みで真っ黒になっていることがあります。本人は「頑張った感」が出て満足していますが、演奏中に読み取れないと逆効果です。特にドレミは書かないことで必要な情報を絞りましょう。
言葉を仲介してしまう。
楽譜とは図や記号です。ドレミを書くということは、楽譜を一度言葉に置き換えて、言葉を元に演奏することになります。
スラスラ読むためには、「楽譜を見たら身体が動く」というふうに言葉を介さないことも大切です。
例えば、英語などの第2言語の習得が難しいのは、一度日本語に訳してしまうためです。日本語を通さず、英語を英語のまま理解できるとスラスラ喋れる、ということはよく言われていますよね。
音楽でも同じで、楽譜のまま理解することで、上達スピードが上がります。
ドミソシレファラを覚える
まずは、ドミソシレファラの位置を覚えましょう。これは線上にある音符達です。1音飛ばしなので、これだけでも読むスピードが倍になりますよ。
また他のメリットとして、1つ飛ばしは和音の基本となります。和音を理解する上でもこれに慣れていることは、非常に重要です。
和音(コード)を理解する
次の音を読んでみてください。上記の線上の音を覚えたあなたなら、簡単ですね!
「えーっと、ドとミとソだね!」
と一音一音読みましたよね?
中級者以上はそう読みません。中級者は「C」と1文字で済みます。
複数の音を一つの図形として捉えることができるのが、和音の力です。このサイトを読み進めていけば、この力が身につきますよ。
まとめ
基本的な知識を抑え、実践していくことが大切です。
また、半音と全音を学んだことで、「半音5個分」というふうに距離を表すことができるようになります。しかし、これにはデメリットが多くあります。
「ドの半音5個上」と言われても「ミ」なのか「ファ♭」なのか区別ができないのです。どちらも同じ音ですが、理論上ではこの差が大切になってきます。
また、シンプルに数えにくいですよね。なので、「音程」と呼ばれる距離の測り方が重要です。