こんにちは音楽家の西村です。
- 歌や楽器の音程をよくしたい。
- 聴いただけですぐに演奏できるような相対音感が欲しい。
- 作曲の基礎を学びたい。
そう思っていませんか?
実は、音楽理論の「音程」を学ぶことで相対音感を身につき、音楽理論が分かるようになります。
なぜなら、音楽とはリズムと音程の2つで作られるものだからです。
私は、小6から音楽理論を学び始め、作曲をしながらも吹奏楽系のコンクールで10回以上金賞を受賞し、国公立音大へ入学しました。現在は高校音楽にて音楽理論等を教育しています。
この記事では、そんな「音程」についてまとめました。
この記事を読めば、相対音感が身につき、音楽の仕組みが分かるようになります。
音程
音楽の3大要素とはメロディーと和音とリズムです。そのうちメロディーと和音は音程によって理解できます。音程とは音と音の距離のことです。つまり、距離が理解できれば音楽の2/3が理解できるといってもいいでしょう。
数回聴いただけで、楽器が演奏できちゃう人っていますよね。そういった人は間違いなく相対音感がある人です。相対音感とはすなわち、音の距離感が分かるということです。これは後天的に身につけることができます。
音程は「完全1度」というふうに「種類+数字+度」で構成されます。
導き出し方は次の3ステップ
- 度数を求める
- 幹音の種類を求める
- 変化記号がある場合、種類の変化を求める
音程とは
音と音の隔たりのこととよく言われます。つまり、どれくらい離れているかという距離を表すのが音程です。ドとレの距離やミとラの距離など「半音以上の2音の距離」を表すことができます。
実際の距離にもメートルという単位があるように、音程にも「度」という単位があります。
日本人が日常的に使う「音程が違う」という言葉のニュアンスとは少し異なります。例えば「ドの音が少し低い」というときは、1音の中での絶対的な高さが違うことになります。比較対象がない場合は音程ではなく、「ピッチが違う」という方が正確です。
半音の数
初心者の方であれば半音や全音で数えればよくない?となるかもしれません。
実際にミとファの距離は「半音」といえば伝わります。ドとミの距離は全音2つ分と言ってもいいでしょう。
しかし、半音では不便な点があるのです。1オクターブの中には12種類の音が存在しますが、1つフレーズの中で12種類全て使うことは基本の理論的には無いのです。全ての音を使うと不協和音が多発し、美しくないからです。
そのため、実は12種類から選ばれた7つの音を使うことが基本のルールなのです。そのため7進数で数えることが「音程」なのです。
度数の数え方
度数は音程間の幹音の種類がいくつあるか数を数えていきます。
まず、最も重要なポイントは音程には0(ゼロ)が存在しないという点です。同じ高さ2つの音でも幹音は1種類ですので、1度ということができます。
ピアノをイメージして、黒鍵のことは考えずに白鍵の数を数えることで簡単にできますね。
では問題です。次の音程は何度でしょうか。
答えは5度。
下の音がファ、上がド、これを順に数えると「ファ、ソ、ラ、シ、ド」の5種類となる。よって5度。
8度について
8度とは言わずoctave(オクターブ)という方が一般的です。これは前述の通り7進数で数える方が楽だからです。
9度以上の音程
9度以上の音程のことを複音程と呼びます。(8度以内は単音程)複音程は7進数で数えるために、オクターブ近づけることで7度以内に置き換えます。
例えばドと上のレの場合、レを1オクターブ下げ、一度ドとレで音程を考えると2度ですよね。1オクターブ分の距離+2度ということが言えます。
9度とは言わず、「1オクターブと2度」と応えるのが一般的です。
しかし、近年ジャズやポップスで不協和音も多用している音楽が増えてきました。その影響で9度や11度ということも間違いではありません。
ゼロがない理由
ゼロがないことによって、私達にとっては少し混乱しやすいですよね。ゼロがない理由として、ゼロが発明される前に音楽理論が確立された説があります。ゼロの発見や定説については、7世紀の初めころにインド人の数学者ブラーマグプタによるという説が定着しています。対して音楽の基礎となるピタゴラス音律はその1000年近く前の紀元前6世紀と言われています。
また、ピアノなどでも運指番号と一致しやすいことから使い勝手もいい場面があります。
音程を英語で答えると、ワン、ツー、ではなく、ファースト、セカンドなのです。つまりこの数え方は、序数なのです。日本人にとってはより分かりにくい話ですが、野球のベースにゼロがないように、音程にもゼロはないと覚えておいてください。
度数だけでは不完全?
例えば、ドとレ、ミとファ、これらはどちらも2度といえますよね。しかし、半音の数を数えてみると前者が半音2個分、後者が半音1個分の距離です。このように距離を表すには度数だけでは不完全なのです。
そこで、前者を長2度、後者を短2度と呼び分ける必要がでてきます。これら度数の前に付ける言葉を音程の種類と呼び、種類と度数のセットで答えることで正確になります。
次回、種類の判断方法について詳しく解説しますので、合わせてお読みください。
幹音の種類を求める
度数だけでは不十分なので、種類を合わせて呼びます。種類は「長・短・完全・増・減・重減・重増」の7種類です。
- 度数を求める
- 音程間の幹音の半音数を数える
- 表を使い、度数と半音数が交差する種類を求める
半音数 \ 度数 | 1 | 2、3 | 4、5 | 6、7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|
0 | 完全 | 長 | 増(ファシ) | ||
1 | 短 | 完全 | 長 | ||
2 | 減(シファ) | 短 | 完全 |
幹音同士の音程まとめ
幹音同士の音程は56種類ありあます。
変化記号がある場合、種類の変化を求める
先に結論を伝えます。記号が付いたことで、幹音同士と比べてどう距離が変化したか、によって種類が変化します。
一度記号を無視して、幹音同士の種類を求めます。その種類を出発地点として上の表から左右に移動します。
記号によって音程間が狭くなれば左へ、広くなれば右に移動します。
- 幹音同士の音程を求める。
- 変化記号によって距離がどう変化したか考える。
- 表を使い幹音同士の種類から変化した方向へ移動する。
音程まとめ
- 度数を数える
- 幹音の種類を求める
- 半音の数を数える
- 種類の表を使い、交差する種類を求める
- 変化記号がある場合、種類の変化を求める
- 記号によって狭くなったか、広くなったか考える
- 種類変化の表を使い、種類を移動させる
まとめ
度数の数え方について説明させていただきました。音程が分かることで、和音では各音がどれくらいの距離なのか、メロディーでは次の音はどれくらい離れているのか、という判断ができるようになります。これはすなわち、音楽理論の全てが音程でできているとも言えます。算数でいう九九になるでしょうか。
これを利用し音楽が発展していきますので、あなたのお力になることでしょう。