音楽理論の全容【聴いて覚える音楽理論まとめ】

こんにちは西村です。

  • 音楽理論を学んでも演奏に役立たないんじゃない?
  • 逆に個性的な音楽が作れなくなっちゃうって聞いたけど、ほんと?
  • 音大受験したいけど、理論の勉強が面白くない

そんなお悩みありませんか?

実は、音楽理論は聴いて覚えることで、音楽表現の幅を広げることができます。

なぜなら、理論を耳で理解できないということは、自分の音楽を聴いても何が正しいのか理解できません。感覚で作られた音楽でも素晴らしいものは沢山ありますが、言語化できていないと違う曲でも似た表現になってしまうことがあります。

「型破りな人」という言葉がありますが、型を知らない人が型を破ることはできません。

私は、小6から音楽理論を学び始め、作曲をしながらも吹奏楽系のコンクールで10回以上金賞を受賞し、国公立音大へ入学しました。現在は高校音楽にて音楽理論等を教育しています。

この記事では、クラシックからPOPsまで使える、音楽理論のカテゴリーをまとめています。理論書からは音は出ませんが、このサイトでは音を出しながら実用的で分かりやすく解説していきます。

この記事を読むと、音楽理論の全容をサクッと理解できます。

音楽表現が広がり、譜読みや作曲スピードが上がること間違いなしです。最終的には楽曲分析ができるようになるまでご案内いたします。

当サイトは音楽理論を次の9つのカテゴリーに分けます。

  • 基礎用語
  • リズム
  • 音程
  • 音階
  • 和音
  • コード進行
  • 和声
  • 楽式論
  • 分析

ひとつずつ見ていきましょう。

楽典・基礎

まずは基礎用語が大切です。言葉を知らないと音楽理論の前に詰まってしまいますので、基本的な用語は覚えましょう。

理論を学ぶ上で最低限知っておきたいことは次の4つです。

  • 半音と全音
  • 変化記号
  • 幹音と変化音
  • 音名

半音と全音とは

半音とは: すぐ隣の音のことです。「ミとファ」や「ドとド♯」などのことです。ギターでいう隣のフレットのことです。

全音とは: 半音2つ分の距離のことです。つまり、一つ飛ばしの音。「ドとレ」や「ミとファ♯」などのことです。

変化記号とは

記号呼び方意味
シャープ半音上げる
フラット半音下げる
ナチュラル幹音で

幹音と変化音

幹音とは: 変化記号が付いていない音。(ピアノでいう白鍵のこと。※例外有

変化音とは: 変化記号が付いている音。(ピアノでいう黒鍵のこと。※例外有

※ 例えば「ミ♯」はピアノの白鍵ですが、変化音です。

各国の音名

実は、ドレミは日本語ではなくイタリア語なんですよ。しかし、日本語の理論書では日本語の音名が使われています。POPsでは英語が使われ、クラシックではドイツ語が使われます。

そのため、音楽を学ぶには4つの言語で音名を知っておく必要があります。

バイリンガルもびっくり!

4つと言っても規則性があり、簡単ですよ。

イタリアファ
英語CDEFGAB
日本
ドイツCツェーDデーEエーFエフGゲーAアーHハー

リズム

名前音符休符全音符を1
としたときの長さ
4分音符を1
としたときの長さ
全音符
全休符
2分音符
2分休符
1/2
4分音符
4分休符
1/4
8分音符
8分休符
1/81/2
16分音符
16分休符
1/161/4
  • 音符休符の名称と長さ
  • 音符のパーツ名、連桁
  • 拍子記号

音程

音楽の3大要素とはメロディーと和音とリズムです。そのうちメロディーと和音は音程によって理解できます。音程とは音と音の距離のことです。つまり、距離が理解できれば音楽の2/3が理解できるといってもいいでしょう。

数回聴いただけで、楽器が演奏できちゃう人っていますよね。そういった人は間違いなく相対音感がある人です。相対音感とはすなわち、音の距離感が分かるということです。これは後天的に身につけることができます。

音程は「完全1度」というふうに「種類+数字+度」で構成されます。

導き出し方は次の3ステップ

  1. 度数を求める
  2. 幹音の種類を求める
  3. 変化記号がある場合、種類の変化を求める

度数の数え方

度数は音程間の幹音の種類がいくつあるか数を数えていきます。

まず、最も重要なポイントは音程には0(ゼロ)が存在しないという点です。同じ高さ2つの音でも幹音は1種類ですので、1度ということができます。

幹音の種類を求める

度数だけでは不十分なので、種類を合わせて呼びます。種類は「長・短・完全・増・減・重減・重増」の7種類です。

  1. 度数を求める
  2. 音程間の幹音の半音数を数える
  3. 表を使い、度数と半音数が交差する種類を求める

半音数 \ 度数2、34、56、7
完全増(ファシ)
完全
減(シファ)完全

変化記号がある場合、種類の変化を求める

先に結論を伝えます。記号が付いたことで、幹音同士と比べてどう距離が変化したか、によって種類が変化します。

一度記号を無視して、幹音同士の種類を求めます。その種類を出発地点として上の表から左右に移動します。

記号によって音程間が狭くなれば左へ、広くなれば右に移動します。

  1. 幹音同士の音程を求める。
  2. 変化記号によって距離がどう変化したか考える。
  3. 表を使い幹音同士の種類から変化した方向へ移動する。

音程まとめ

  1. 度数を数える
  2. 幹音の種類を求める
    • 半音の数を数える
    • 種類の表を使い、交差する種類を求める
  3. 変化記号がある場合、種類の変化を求める
    • 記号によって狭くなったか、広くなったか考える
    • 種類変化の表を使い、種類を移動させる

音階

「12音の中からどの音を使うか」というのが音階です。多くのポピュラー音楽で使われている音階である「全音階」は、7つの音が選ばれています。その選び方によって、長音階と短音階に分けられます。

長音階(メジャースケール)とは

長音階(メジャースケール)とはある音から全全半全全全半の順で並べられた音階のことです。

隣同士の音程は全て2度となります。ですので、音程の種類でいうと長長短長長長短とも言えるでしょう。

日本語音名で「ハ」から始めて長音階を作るとドレミファソラシドとなり、「ハ調長音階(Cメジャー・スケール)」と呼ばれます。

音階の機能とは

ひとつ一つの音には機能があり、主要な機能は次の4つ

  • 主音(トニック): メロディーの最後の音は主音で終わる。そうすることで、安心感を感じる。
  • 属音(ドミナント): 主音と完全5度上の関係。主音と最も相性が良く、期待感を感じる。
  • 下属音かぞくおん(サブドミナント): 主音の完全5度下の関係。主音と属音の間を取り持つような動きが多い。
  • 導音: 主音と短2度の関係。7音の中で主音と最も不協和音になる。緊張感を感じることで、主音への推進力が生まれる。
  • 長音階
  • 短音階3種類
  • それぞれの機能
  • 5音階

和音

和音を理解できると、メロディーのハモリや伴奏を構成する音などが理解できます。

三和音(トライアドコード)各音の名称

三和音はある音から3度ずつ重ねられた3音からなります。各音には名称があります。

  • 根音(ルート): 最低音
  • 第3音(サード): 根音から3度上の音
  • 第5音(フィフス): 根音から5度上の音

三和音(トライアドコード)とは

三和音(トライアドコード)とは2つの3度で構成された和音のことです。下の3度と上の3度の幅によって、次の4種類の和音に分けられます。

  • 長三和音(メジャーコード)
  • 短三和音(マイナーコード)
  • 減三和音(ディミニッシュコード)
  • 増三和音(オーグメントコード)
上が長3度上が短3度
下が長3度オーグメント(Caug)


メジャー(C)



下が短3度マイナー(Cm)


ディミニッシュ(Cdim)

コードネームとは

コードネームとは複数の音をまとめて1つの名前を付け、記号化したものです。これによって複数の音を視覚的に簡単に表すことができます。オクターブの配置を示すことはできませんが、これにより柔軟な即興演奏などでも重宝します。

固有和音(ダイアトニックコード)とは

音階の各音を根音として、作られた7つの和音を固有和音(ダイアトニックコード)といいます。

ハ長調の固有和音のコードネーム

ハ長調の曲は上記の7つの和音を基本として作られています。

ハ長調の固有和音のローマ数字

ローマ数字を付けることによって、調の何番目の和音か理解することができます。コードネームとの違いは、転調するとコードネームは変わってしまいますが、ローマ数字は変わりません。ローマ数字を覚えることで全ての調に簡単に転調することができます。

ハ長調の固有和音の機能

和音には3種類の機能があるといわれています。

  • トニックコード(安心感がある和音)
  • ドミナントコード(緊張感がある和音)
  • サブドミナントコード(やや緊張感がある和音)

どんなドラマやアニメを觀ても、必ず主人公はピンチになりますよね。そのピンチを解決することで、人は感動します。音楽も同じで、ドミナントが鳴ったら緊張し、トニックが成ることで安心し感動をします。こういった機能が、1893年にリーマンによって「機能和声理論」にて体系化されています。

転回形

オクターブや順番が変わってもコードネームや機能は変わりません。「ドとミとソ」が使われていればそれはCなのです。ただ、一番下の音は重要なので、どの音が下にくるかによって呼び分ける必要がでてきます。

基本形とは:最低音が根音の形です。

第1転回形とは:最低音が第3音の形です。

第2転回形とは:最低音が第5音の形です。

コードネームではC/E(シー オン イー)のように右側に最低音を表記します。分数コードやオンコードとも呼ばれています。

和音まとめ

次の3つを学習しました。作曲や分析で必要になる知識です。

  • コードネーム
  • ローマ数字
  • 機能
  • トライアド
  • セブンス
  • その他の和音
  • 固有和音
  • 準固有和音
  • ドッペルドミナント

コード進行

コード進行は次の4つを分けて理解するとより実用的になります。

  • 各機能の進行先
  • 機能からローマ数字へ変換
  • 機能から各調のコードネームへ変換
  • 各調のダイアトニックコード進行先

ひとつずつ見ていきましょう。

各機能の進行先

  • Tはどの和音へも進むことができる。
  • DはDかTへ進む。
  • SはSかTへ進む。
  • D2はD2かDへ進む。

機能からローマ数字へ変換

  • Tの機能を持つ和音: Ⅰ、Ⅵ、(Ⅲ)
  • Dの機能を持つ和音: Ⅴ、Ⅶ
  • D2の機能を持つ和音: Ⅱ、Ⅳ
  • Sの機能を持つ和音: Ⅳ

機能から各調のコードネームへ変換

今回はハ長調の場合です。

  • Tの機能を持つ和音: C、Am、(Em)
  • Dの機能を持つ和音: G、Bdim
  • D2の機能を持つ和音: Dm、F
  • Sの機能を持つ和音: F

各調のダイアトニックコード進行先

今回はハ長調の場合です。

  • Cは全ての和音へ進むことができる。
  • DmはGへ進む。(同じD2だが、Fへは進めない。)
  • Emは全ての和音へ進むことができる。
  • Fは前後の状況によりCかDmかGへ進む。
  • GはBdimかCかAmかEmへ進む。
  • Amは全ての和音へ進むことができる。
  • BdimはGかCかAmかEmへ進む。

もちろん例外は沢山ありますが、それは発展した理論なのか、分かっていて破っているのか、無知だから破っているのか、その理由によって作品の深さが変わってくるでしょう。

  • D進行
  • S進行
  • 機能の代理
  • 王道進行
  • カノン進行
  • 小室進行

和声・ボイシング

和声法とはコード進行の中で各音の配置を考えよう、という理論です。

例えばTDTを「バス・テノール・アルト・ソプラノ」の4声で配置してみましょう。

固有和音で説明した形をそのまま使った非常にシンプルで理解しやすい配置です。しかし、これは美しくないと言われています。いくつか原因はありますが、最も大きな原因は各声部が独立していないことです。

全ての音が同じように動いていますよね。それによって、デコボコした印象になってしまいます。

ですので次のように、バスが上がったら、テノールは下がる、など独立した動きが大切です。

いかがでしょう。後者の方が聴きなじみが良く、美しくないですか?

コードや機能は全く変わっていませんが、配置によって印象は変わってきます。

限定進行

次の音がほぼ確定している場合があります。

特に重要な限定進行はⅤ7からⅠへ進行するときに現れます。それは、

  • Ⅴ7の第3音が2度上行すること
  • Ⅴ7の第7音が2度下行すること

例えば、次のようにこれらを無視してしまうと、違和感を感じませんか?

これらは、Ⅴ7の不協和音によって「近くの安定した音へ向かいたい」という力が働くためです。

このように限定進行を知っていることで美しい音楽を作曲できるだけでなく、演奏するときも音の持つ力に合わせた表現をすることができます。

禁止事項

和声学ではいくつもの禁止事項はありますが、ここでは最も代表的なものを1つ紹介します。

それは、連続5度です。同じ声部間で5度を続けて使用することは禁止されています。クラシックでは一発退場ものですね。

この場合アルトとソプラノ間で5度が多用されています。声部の独立性が無くなり、その部分のみ一体間を持つことで、強調されたような耳に刺さるような硬い感覚があります。

ロックでは逆に、パワーコードと呼ばれて多用されていますよね。

「ルールを破っててカッコいい」「ギターで弾きやすい」「音圧を稼ぐことができる」などの理由が考えられます。

楽式論

音楽として成り立つ最小の長さは何小節だと思いますか?

それは2小節です。1小節では音楽として機能しません。なぜなら重心が2つないと比較対象がいないからです。

動機(モチーフ)とは

この2小節のことを動機(モチーフ)といいます。音楽ではこの2小節をいかに作れるかが大切になってきます。どんなに長い音楽も2小節の積み重なりでしかありません。

小楽節とは

小楽節とは2つの動機からなる4小節の音楽のことです。

2つの動機の関係によって2種類の小楽節に分けられます。

AA(前半と後半で似た動機を持つ小楽節)

AB(前半と後半で対立する動機を持つ小楽節)

大楽節とは

大楽節とは2つの小楽節からなる8小節の音楽のことです。4つの動機から構成されるとも言える。

4つの動機の関係によって3つに分けられる。

AAAA(全ての動機が似ている大楽節)

全て同じだと動きが少ないので、しばしば3回目の動機がアレンジされます。

ABAB(前半と後半の小楽節が似ている大楽節)

ABCD(4つの動機全てが対比する大楽節)

楽式論まとめ

音楽とは聴いた傍から消えゆくものです。その中で聴者に覚えてもらうために大事なのが、繰り返すことです。

クラシックはもちろん、多くのPOPsでもAメロ、Bメロ、サビはそれぞれ8小節の大楽節か、大楽節×2で作られています。ぜひ好きな曲の小節数を数えてみてください。

楽曲分析(アナリーゼ)の方法

ここまで読み進められたあなたなら、楽曲分析(アナリーゼ)をすることができます。

項目は次の5つです。

  • 調判定
  • コードネーム
  • ローマ数字
  • 機能
  • 楽式

この5つを実際に楽譜に書き込んでみてください。

これによって沢山の音をまとめることができるようになるはずです。まとめることができると、譜読みスピードが上がり、暗譜する容量が減り、音楽の流れを理解できるようになります。

そして沢山の曲に触れることが大切です。

しかし、楽譜を購入するのもお金がかかりますよね。

私が日々楽曲分析に愛用している楽譜を紹介します。

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