音楽を聴いていると、ある曲は明るく楽しい気分にさせ、別の曲は哀愁や悲しみを感じさせることがあります。その違いの一つは、曲が「短調」か「長調」かにあります。特に「短調」は、感情を深く表現するために重要な役割を果たします。そして、「短音階」は、短調の基礎となる音の並び方です。
この記事では、短調と短音階がどのように音楽の感情を形作るのか、初心者にも分かりやすく解説していきます。音楽の理解を深め、短調の曲の魅力をより感じられるようになるための第一歩として、ぜひご覧ください。
短調とは?
短調とは、音楽の調性の一つで、全体的に暗く、感情的な雰囲気を持つのが特徴です。音楽の調性とは、曲のキーを決定する基本的な音の集合を指し、これが曲のムードや感情を大きく左右します。
短調は、通常、悲しみや内省、時には神秘的な感情を表現するために使われます。これに対して長調は、明るく、希望に満ちた雰囲気を作り出します。この違いは、音階の構造と、音と音の間に生じる音程の違いから生まれます。
短調の曲は、映画やドラマの感動的なシーン、あるいはクラシック音楽の名作などでよく使われており、聴く人の心に深く響く力を持っています。
短調は基本的に次の3つの短音階を使い分けて作曲されます。
- 自然的短音階
- 和声的短音階
- 旋律的短音階
長音階は全部12種類でしたが短音階は36種類あります。12種類の主音と、自然的、和声的、旋律的からなる3種類の音階が存在するため、12×3=36種類なのです。
安心してください。長調を覚えた方は3つのことさえ知れば、簡単に短音階をコンプリートできます。
- 長調と短調の関係を知る
- 自然的短音階のデメリットを知る
- 和声的短音階のデメリットを知る
長調と短調の関係、自然的短音階とは
長調12種類と短調12種類の中で同じ調号のペアが一つ存在します。
例えば、ハ長調とイ短調は同じ調号を持ちます。どちも♯も♭も付けないという調号です。「ドレミファソラシド」と「ラシドレミファソラ」のことですね。つまり、調号が同じということは7音の構成音も同じです。
つまり、こういった調号が同じ関係を平行調とよびます。
平行調では「長調が3度上、短調が3度下」となります。
つまり長音階を12種類覚えた皆さんは、開始位置を3度下から始めると短音階が12種類演奏することができます。
自然的短音階
このとき出来上がる短音階のことを自然的短音階といいます。
自然的短音階の各距離感は次の通り。(イ短調の場合)
全半全全半全全と並んだものは自然的短音階、と言うこともできます。
和声短音階とは
自然的短音階には欠点が一つありました。それは、「導音が存在しない」という点です。主音との距離が全音と、少し遠いため導ききれないのです。
そのため、第7音を主音に近づけるために半音上げよう、という発明がされました。これを和声的短音階といいます。
和声的短音階
和声短音階は、自然短音階の第7音を半音上げた形の音階です。この変更によって、第7音が導音となるため、ドミナント(5度の和音)がより強調され、解決感や緊張感を強く表現することができます。
和声とは「同時に鳴らされる2つ以上の音のつらなり、またはその進行や配置の組み合わせ」のことです。和音を「ドミソ」にするのか「ドソミ」にするのか、そういったことを考えることです。
つまり、和声的短音階とは和音を構成する伴奏によく使われたことから名付けられています。
旋律短音階とは
和声的短音階では和音の機能を解決したものの、第6音と第7音の距離が半音3つ分となり、音程では増2度となっています。そのため、メロディーで使うにはデコボコして不気味な響きを生んでしまいます。
そのため、第6音も上げてしまおうと、考えが出てきました。それが旋律的短音階です。このとき、主音に向かうために導音を半音上げていましたが、主音に向かわない下降時には自然の方がいいよね、ということが言えます。
旋律短音階は、上昇する際と下降する際で音程が異なる特殊な音階です。上昇時には6音目と7音目が半音上がり、下降時には自然短音階に戻るため、メロディに流動的な動きを与えます。この音階は、ロマンティックなメロディや感情的な高まりを表現するために使用されます。
まとめ
短調と短音階は、音楽に深みや感情をもたらす重要な要素です。これらを理解することで、音楽をより深く楽しむことができ、聴くたびに新しい発見があるでしょう。今回紹介した基本的な理論を参考に、ぜひ実際の音楽を聴いて短調や短音階を探してみてください。
音楽は無限の表現の世界です。短調と短音階の理解を深めることで、その世界がさらに広がることを願っています。
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